阿寒湖「Anytime, Ainutime!」ツアーに参加し、イオルの森を歩く。
案内してくれたのは、ガイドの瀧口健吾さん。
「森は通学路のようなもので、学校帰りにいつも遊んで帰っていました。
オンコ(イチイ)の実をみんなで取って食べて、子どもの手の届くところの実は全部なくなってましたね」
木や植物の種類を知り尽くし、食料や様々な材料として使っていたアイヌの人々の知恵と工夫。
森を歩くと、豊かなコタンの暮らしが浮かび上がってきた。
湖畔では、互いのテックワで、ブドウのつるで作った輪を取り合う「カリプ」遊び。
テックワとは、ヤナギの木で作った杖。森に入る前に一人ひとつずつ手渡された。
先が二股に分かれているのがポイントで、杖としてはもちろん、
高いところのものをとったり、槍にしたりと、森歩きに便利なパートナー。
自分で手を動かしてものをつくり、暮らしの中の時間をじっくりと楽しむこと。
森を歩き、お昼にアイヌ料理を食べた後は、アイヌ文様として伝えられる刺繍のコースター作り。
「きれいにとか、上手にとかではなく、”楽しくやること”。それがアイヌの教え」と、
教えてくれたのは刺繍名人の西田香代子さん。
「ムックリ」は、アイヌ民族に伝わる楽器。ワークショップでは、竹製の製作キットを使って、
音が出るように彫刻刀で削ってみる。
薄く削りすぎると割れてしまうことも。
「でも、割れてしまったムックリがあったから次のムックリが上手にできた、ということを忘れないで、
最初のムックリも大事に持って帰ってあげてください」とガイドの瀧口さん。
「天から役目なく降ろされたものはひとつもない」というアイヌ民族の教え。
ふとしたものづくりの時間にも大きな思想を受け継いでいる。
阿寒湖アイヌコタンにある「イチンゲの店」は、ガイドをしてくれた瀧口健吾さんのお店。
阿寒湖を代表する木彫家として知られた父・瀧口政満さんから受け継いだ。
たくさんの木彫作品が並んだ店内には、瀧口さんが子どもの頃に作ったものも飾ってあった。
店先の作業場で瀧口さんが彫っているのは、自身でデザインしたペーパーナイフ。
木彫家として、ガイドとして。瀧口さんの姿は、私たちにとって、アイヌ文化に触れる大きな入口となってくれた。
アイヌとともに時間を過ごす阿寒湖旅
Anytime, Ainutime!
ツアー詳細 HP https://anytimeainutime.jp